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出版・SP 2018/04/03

あの時、こう撮った(5)

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こんにちは。カメラマンの森島です。
新年度が始まりました。今年は桜の開花も早くて、お天気にも恵まれた2018年の春。
雨が降らない桜のシーズンは静岡では10年ぶりとか。そんな話を先日、弊社が入っているビルの守衛さんと話しました。

さて、今日の投稿は「あの時、こう撮った」の第5回。 

まずは、下の写真を見てください。この写真は伊豆名物「猪鍋」です。
写真としては、どれも「猪鍋」ですが、それぞれの写真はどんな用途が考えられるでしょうか?

     

       

見比べてみますと、最初の二つは青っぽいトーンと猪肉の赤み、生っぽさが強調される絵柄です。
その次は温かい色調になるように仕上げました。
残りの二つは、実際に火をつけて湯気を目立たせたものです。
肉の色が違います(余談:湯気の撮り方ですが、窓を開けるなどして部屋を冷やすとより湯気が出ます。また背景が暗くなるようするのもよいでしょう。湯気は、湯気出し器や画像処理で湯気を作る方法も考えられますが、作業時間=コストを考えた時に、現場の作業+画像処理の時間を含めて、もっとも効率的に作れる方法を選択するのが良いのではないでしょうか)。


さて、みなさんが、それぞれの主観で考えれば、各々が想像する「猪鍋」に合うものを選択すると思いますが、自分以外の人同士をつなぐ意味での写真と考えた場合は、もう一歩踏み込む必要があるでしょう。

例えば、こんな感じでしょうか。

「食は命に感謝するもの」といったことを伝える編集方針に沿わせるのであれば、最初の二つのように少しシリアスな絵柄が良さそう。狩猟のリアルさを含めて伝えます。

伊豆の山で採れたばかりの猪肉を頬ばろう!\(^o^)/といった感じにするならば、3番目や4番目になるのかな。

伊豆の旅をルポします。「浄蓮の滝はその清流でわさびも育っています。滝の水しぶきでマイナスイオンをたっぷり浴びた後は、近くの伊豆の佐太郎(撮影したお店)で猪肉を頬張りました。早春の鍋料理はココロもカラダもほっこりしたなぁ。」などといった文章に添えるのであれば、最後の写真かしら。食べてる最中にパチリとした写真の方が、よりルポらしくなりませんか?

と、まぁ、こんな感じに目的に応じて選択する写真は変わってくると思います。


ただ、しずおかオンラインが制作するものの多くは地域の広告媒体ですね。
そう考えると地域広告は地域の人に広く何がどこで得られるかを伝えることが目的になる場合が多いので、自ずと3番目か4番目でしょう。
なぜなら肉の赤みが新鮮さを伝えながらも、誰もが感じる鍋料理の温かさ、そして、毎日の生活情報ならば、手軽さも大事なのです。
毎日の暮らしの中で得られる、ちょっとした幸せが表現できていれば充分でしょう。という考え方ですね。

その反対に、趣味性を伝える。あるいは、普段の食とは異なる特殊性を伝える。
今回の例では、猪肉は「ジビエ(狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉)」というジャンルに属しますから、「ジビエ」そのものの生っぽさを伝えることもあるのだろうと思います。
こうした編集方針は旅行誌に出てきやすいですが、制作する誌面の目的に合った写真はその編集方針で変わりますね。どんな旅行誌なのか。ということです。

「ジビエの旅」のようにテーマそのものに興味を持つ人に訴える記事を作るのか、ぱぁ〜っと明るく日頃の日常を忘れてココロを解き放とう、皆で盛り上がろうといった記事を作るのとでは、写真の役割や選び方は変わるはずですね。いや、選び方というより、撮影前にそこを確認して現場に入らないと仕事としては成り立たないのかも。

このように、表現はちょっと考えただけでも多彩です。
制作する時に大切なのは、(これは何度も申し上げておりますが)どんなに人に、なにを、どのように伝えるのか?ということでしょう。
また、この例のように幾つかのパターンを撮影すると作業が増えていき制作時間が増加します。ですから、撮影前にできるだけ言葉でコミュニケーションをとる。
これが、とても大事なのだろうと思います。
それをすることで、目的に合ったものを低コストで得る最初の一歩になるのではないでしょうか。


ということで、また、長くなりました。
本年度もどうぞよろしくお願いします!


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