こんにちわ。デザイン研究課、クリエイティブ・ディレクターの藤本です。
半袖で過ごす日が多くなり、気がつけばあっという間に6月ですね。上半期が終わるということは今年の半分が終わろうとしています。
僕は、年初に「やるぞ!」と決めていた今年の「やることリスト」がまだたくさん残っているので、下半期はさらに行動の生産性を上げていきたいと思います。
さて、今回は僕がディレクションをするうえでとくに気をつけている3つのことの1つ「事実で語る」を紹介しようと思います。
しずおかオンラインには8つのバリュー(行動規範)があり、その中に「事実で語る」というバリューがあります。8つの中でも僕が最も大事にしているのがこれで、ディレクションをするうえでも大事にしています。
「事実」と混在されるのが「解釈」です。そして普段の会話ではほとんどが「解釈」になります。仕事をするうえでは、事実と解釈をきっちり区別しないと中身のないミーティングになり、甘い戦略や逆効果の戦略になります。会話のなかでも事実と解釈がよくつかわれるので、これは事実でこれは解釈というように、瞬時に判別する癖付けをしています。
たとえば、今の時期よく会話されると思いますが、
「今日は蒸し暑いね。夕方から雨が振りそうだから、傘をもっていったほうがいい。」
じつは、この中で事実は一つもないのです。
蒸し暑いというのは人それぞれ感じ方が違い、18度でも暑いと感じる人もいれば、30度でも過ごしやすいと感じる人もいます。その人の育った地域や体質、体型により感じ方は千差万別です。
上記の文章を事実に置き換えると
「現在の気温は31度で湿度が86%だね。天気予報で夕方からの降水確率が90%だから、傘をもっていったほうがいい。」
というふうに「蒸し暑い」という解釈を「気温・湿度」という事実に、「雨が降りそう」という解釈を「降水確率」という事実に変換することができます。
もう少し具体性をもたせると
「この気温と湿度では、不快指数が85以上あります。よって日本人の93%のひとが不快に感じています。」
という変換までできると、蒸し暑いにたいして、それぞれの解釈を合わせることができます。
もちろん家族や恋人との会話では「今日は蒸し暑いね」「雨振りそうだね」でよいですが、ビジネスの会話では正確性が求められるので、その裏側にある事実をしっかりと意識することが大事になってきます。
ディレクションをするうえでは、
「このページはアクセスが下がり続けている、この企画はダメでした。」という報告があったとします。否定的感情ほど解釈になりますので、この報告を事実に変換しなくてはなりません。
アクセスが減ったのは、いつと比べて(昨年対比なのか、先月対比なのか、半期対比なのか)、どのくらいの期間、どのくらいの数字で(PVなのかセッションなのか)、どの経路で(トラフィックチャネルは?ユーザーデバイスは?)なのか?
解釈を事実にして報告するならば、
「このページは4月の30日間でモバイルユーザーによるオーガニック検索からの流入が昨年対比18%、PVが削減している。この企画はダメでした。」
という報告になり、「ダメでした」という感情に対しても説得力が上がるかと思います。
もしかしたら、事実を知ることで、
「PVは減ったがセッションは増えていて、結果としてコンバージョン(成果)は上がっている。」
「具体的な原因がつかめ、容易な対策ですぐに課題解決ができた。」
というような状態になるかもしれない。
もし、報告者を受ける側が解釈のまま受け取ってしまったら、この企画は成果をだしているにもかかわらずクローズになったかもしれない。可能性を残しているのに改悪されたかもしれない。先述したように、否定的感情ほど「解釈」になりやすいので、しっかりと「事実」に変換して考えること、解釈ではなくなるべく事実を伝える。解釈の時には「僕の解釈では」というように伝えることを意識しています。
とはいえ、解釈が悪いわけではなく、じっさいには事実よりスピード感もありますし、ポジティブな解釈が時にはよい判断材料にもなります。
マーケティングの本や研修などで題材にあがる逸話で「裸足の国で靴を売るセールスマン」があります。簡単に説明すると、靴をうる二人のセールスマン(仮にAとBとする)がいて、現地視察をしたところ、その国は全員が裸足で生活しており、
Aは「この国は全員が裸足です。靴のニーズがないので市場価値がありません」
Bは「この国は全員が裸足です。全員に靴を売ることができるので高い市場価値があります」
と報告したそうです。
Bはこの後、現地で靴の安全性や快適性などの啓蒙活動を行い、この国でのセールスを見事に成功させた。という話です。
「全員が裸足」という事実に対して「市場価値がない(ネガティブな解釈)」「高い市場価値がある(ポジティブな解釈)」という異なる解釈があり結果としてビジネスで成功させたのはポジティブな解釈でした。すべてにおいて事実でなければ判断材料にしないのではなく、ときにはポジティブな解釈も重要な判断材料になるのです。
ディレクションをするうえで、クライアントや開発メンバーといった多くのひととコミュニケーションを行うと、多くの解釈がうまれます。あらゆる方向に向いてしまった解釈ではベクトルを合わせることが困難です。事実で語り、解釈を同じ方向に向かせることがディレクターの役割でもあり、意思決定の材料にもなるはずです。
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